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静かな豪雨、ほの暗い星空

「お疲れ様ぁー」
「また明日」
「お先に失礼しまーす」
「お疲れでしたぁー」
気がつけばほとんどの人が家路につき、
周りを見回せば仕事机にかじりつく人は数えるだけになっている。
少し前に感じた空腹も時機を逸し、何やら食べたい献立も思いつかない。
「よし、今夜はここまで。」と直通電車の時間を狙い
静かになった職場を後にする。
ザァァァー…
街の音を掻き消す雨の束。
安っぽい蝙蝠傘に「ばちばち、ばちばち」と叩く音。
雨の静寂の音。
夜空を呪いながら、地下へと階段を下っていく。
傘を畳んで、地階の改札をくぐると駅員の声が響いてくる。
「大雨洪水警報のため、現在○○線は□□までの直通運転を取り止め、○○・××間での・・・」
調子が出ないときはこんなものか。
何かをする度、何かしら邪魔が入る。
しようがない。
億劫ではあるが、乗り継ぎながら帰るしかない。
薄暗い車輛の中、重たい頭でぼんやりと辺りを盗み見る。
乗客は皆、節目がちで、肩口やズボンの裾を雨で濡らし、
鬱陶しそうに眉間に皺を寄せている。
きっと、私も似たような面持をしているのだろう。
などと想念にふけっていると、メトロが地上の夜に顔を出す。
曇った硝子窓、向こうに薄ぼんやりと星空が見える。
こんな都会でも星は見えるのだなぁ。。
いや、それより、どうやら雨があがったようだ。
「○○へは次に来る急行が先に到着いたします・・・」
最後の乗り継ぎを済ませ最寄駅まで、もう少し電車に揺られていく。
心なしか、人々の顔も明るく見えてくる。
最寄駅に到着し改札をくぐると、
構内で笑い声を響かす学生達が目に入る。
木製のベンチで恋人を待つ女の子。
買い物袋を重そうに自転車かごに乗せる主婦。
煙草の買出しか、寝巻き姿の近所の親父。
傍らの傘たちはその役目を終え、小休止。
そして、東京の星空はほの暗く輝く。
「さて、明日もがんばろうか」
一人ごち、歩き始める。
畳んだ傘はもう、開かない。

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